感想戦は第１局同様、静かに淡々と進行しました。
図で一本、△４六歩とする手があったようです。後の▲４六桂からの攻めをなかなか振りほどけず、里見１級もその展開を悔いていました。▲４六同銀では△４七角などの筋が
生じます。中央に銀を呼び込むだけに指しにくい手ですが、このタイミングだったようです。
図から▲５三角成～▲２六馬を「ちょっとさびしい手ですが」と語っていた矢内女流名人
ですが、「なかなか追い込めず、受け方が分からなかった」（里見）というように、ここらへんの指し回しは実戦的にじわじわと里見女流１級を追い込む効果があったようです。
図の局面での△８六歩では、△６四桂（次に△８六歩～△７六桂）が良かったようです。以下、▲６九金は△８六歩▲５九金△８七歩成▲同玉△６七銀で後手良し。▲８六銀打と上部を厚くするのは、△５六歩から横の攻めを見せてまだまだの形勢でした。
感想戦は１時間ほどで終了しました。里見１級への取材が殺到したため、18時20分より共同の記者会見が開かれています。
（今日は楽しく指せましたか？の問いに「はい」）
（昨日高校に合格したとの報に、拍手が沸いた）
（ＴＶカメラが５台。瀬川フィーバーを彷彿とさせる盛り上がりだ）
（高校は将棋部は無いという。「では卓球部に？」「いえ、まだ決めてません」）
（感想戦の前に、第１局につづき出雲市長が里見を激励に訪れていた）
（悔しさからか、頬を紅潮させたままの里見１級）
（勝った矢内も疲れた表情）
（勝負は最終局（2/22）に持ち越された）
〔矢内女流名人のコメント〕
－どのあたりで勝ちを意識しましたか？
「勝ちになったと思ったのは▲６一飛と打ったあたりです。」
－１勝１敗になりましたが
「第３局（2/22）までの間に女流名人位の防衛戦（第１局：2/8、第２局：2/15）もあり、よい
緊張感を保って、自分の力を出せるようにがんばりたいです。」
〔里見女流１級のコメント〕
－どのあたりが悪かったと思いますか？
「△４六歩をもっと早く打つべきだったかなと思います。」
－１勝１敗となりましたが、第３局に向けて。
「序・中盤でリードされないように、楽しんでさせるようにしたいです」
（勝者の背後にばかり報道陣が集まる、異例の感想戦）
(終局直後の矢内女流名人)
レディースオープントーナメント2006 決勝３番勝負・第２局は
137手までで先手・矢内理絵子女流名人の勝ちとなりました。
終局時間は17時5分 消費時間は先手・矢内理絵子女流名人180分
後手・里見香奈女流１級180分、でした。
第３局は２月２２日（木）、東京・将棋会館にて行われます。
控え室では終局間近、矢内勝勢と結論づけられました。111手目▲８四角以下、△８二玉ならば▲６三金△５八と▲６四金△６八とが詰めろにならないというのが変化の一例です。
振り返って96手目△８六歩▲同銀△３五歩とした手が疑問で、単に△６四桂なら難しい勝負だったようです。
（モニターを見つめる検討陣。Ａ級順位戦並みの盛況だ）
△４六歩の叩きになかなか▲同銀と取らない矢内女流名人。「取って何があるのか」という声が出る中、▲６三歩。
斎田倉敷藤花、早水千紗女流二段など、女流棋士による継ぎ盤では検討されいました。いよいよ決めに出たようです。
矢内女流名人の指し手は意外な▲５三角成でした。△６二銀に▲２六馬とじっと引きました。対する里見女流１級はすかさず△８五歩。
控え室のムードはかなり局面が接近しているのでは、という雰囲気。局面はクライマックスが迫っている。
△８五歩▲同歩に△６四桂ではないか、と見られていたが、里見女流１級は△８六歩▲同銀△３五歩。最後の△３五歩に控え室は「？」
時刻は16時になろうとしています。控え室には新たに石橋四段、早水二段が訪れています。
局面は矢内名人の▲４二角を機に、後手にも楽しみが出てきました。里見１級の離れず、ぴったり食いついていく指しまわしに、検討陣がしきりに「強い」を連発しています。どのようなところが強いんですか？と記者の問いに、「将棋が強いです」と片上五段。
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