« 2007年1 月 | メイン
激務の合間を縫って、米長邦雄永世棋聖(日本将棋連盟会長・後列左から二人目)が姿を見せました。
顔なじみの取材陣に声をかけた後、数分間検討を眺め、また部屋を出て行きました。
控え室の検討陣は里見玉への寄せ手順のみが調べられている。
△2六歩、△1六桂などいろいろあるが、最有力候補は△1六桂。▲1七玉としても△2九飛で受けがない。こうしてみても、やはり早過ぎた端攻めの罪は大き過ぎた。
矢内女流名人は△1六桂。痛打が放たれた。
角切り(▲4二角成)の後、▲7七歩から後手の5九の角を捕らえに行く手順が検討されていたが、里見1級は▲2五歩。ここで△同歩から全部相手をすれば、簡明との見解だったが、矢内女流名人は△8六角成。その間に里見1級は玉頭にアヤを付けて、桂を成り捨て、逆転への道を求める。
「矢内さんが相当なミスをしないと逆転はしない」と検討陣の見解は一致している。両者の持ち時間はなく、指し手がバタバタと進んでいる。決着の場面が近づいている。
丁寧に丁寧に△6三歩を打つ阿久津五段
片上五段、上野四段、先崎八段
青野照市九段も姿を見せた
里見1級の▲6四角は「悪い手でしょう」と検討陣は口を揃える。
△1三香と歩を払って、自分から手をつけたはずの端が相手の勢力に早くも変わってしまっている。やはり端(▲1五歩)は不急の一手で、中央からの攻めが優ったようだ。遅ればせながら▲5五歩と突いた里見1級。ここから終盤のイナズマは見られるのだろうか。
それは許さないと矢内女流名人は△6三歩と手堅い指しまわしを見せる。
▲7五角に対する△8三飛が受け一方の手で評判が芳しくない。△7四飛とした後の▲4二角成からの強襲を警戒したのではないか、と見られていた。検討陣は「振り飛車が面白くなった」とにわかに盛り上がりを見せる。
しかし、直後にいきなり端を攻めたのも「?」という展開。▲5五歩のように角のラインを行かした攻めを検討陣は予想していた。
大勝負のプレッシャーなのか、お互いに見えないものへの焦りや怖れがあるのだろうか。流れが読めないまま時間が切迫していく。
「いやぁ、当たらないねぇ」苦笑いしながら頭を抱える森九段。
片上大輔五段・北尾まどか女流初段夫妻の姿も見える
矢内女流名人は熟考の末、「決め手か」と検討されていた△5九角を指した。
▲7六飛は△6八角成▲7八銀△5五歩。▲7七歩は△7四飛▲7六銀△8七歩。受けに回るのではダメとの見解。
そこで▲7三桂不成△8六飛▲8一桂成△8七飛成▲7一飛成△6七竜▲1五歩△同歩▲1四歩の攻め合いが有力手順として検討されている。「居飛車が良いだろうが、ちょっと嫌」(阿久津五段)
先崎学八段(上)、森けい二九段(下)。森九段は愛弟子の里見1級の側に座り、検討の中心となっている。
上野裕和四段
北尾まどか女流初段
矢内女流名人の△8四飛では△7四飛とぶつける手順が検討されていた。現時点での飛車・角交換は△4九角の筋などがあり、居飛車が指しやすい。そこで▲7六銀と交換を避ければ△6七歩と垂らす。▲7五歩と交換を避ければ、そこで△8四飛となって、本譜の順よりも得していることになる。
里見1級は自ら角交換を行ったが、先手の銀・桂の捌きにくさと玉型の違いもあって、居飛車が指しやすいのではないか、と見られている。
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